
小説家の太宰治は、生きることへの苦しさや社会への不適合ゆえに、薬物中毒や心中未遂といった退廃的な生活の末、入水自殺によって生涯を終えた。作品においても、代表作の『人間失格』など、人間の弱さや繊細さを表現した小説で知られる。そんな太宰にまつわる話として、酒癖の悪い詩人の中原中也に絡まれたエピソードは有名で、この話からも、太宰より中也のほうが強い印象を受けるが、ただ、体格差を見ると、中也は相当小柄だった。自身だいぶ背丈の大きい作家の坂口安吾によれば、中也の身長について「四尺七寸ぐらいの小男」と綴っている(参考 : 坂口安吾『酒のあとさき』)。四尺七寸だと142cmほどになるが、実際は150cmくらいだったのではないかと言われている。それでも当時の成人男子の平均身長が160〜165cmほどなので小さいほうだった。一方、太宰の背丈は、逆に当時の平均身長からするとだいぶ大柄で、172cmほどだったようだ。太宰自身、随筆風の私小説なのかある作品のなかで、「五尺六寸五分」と身長について書いている。「けれども私の身長は五尺六寸五分(五尺七寸以上と測定される事もあるが、私はそれを信用しない。)であるから、街を普通に歩いていても、少し目立つらしいのである。」(参照 : 太宰治『服装に就いて』)。これは約171cmほどに当たる。現実の正確な数字がどれくらいかはわからないが、いずれにせよ太宰と中也では、身長差が20cmほどあったと考えられる。