愛嬌というのはね、自分より強いものを倒す柔らかい武器だよ──明治の文豪として名高い作家、夏目漱石の小説『虞美人草』の一節。

自分よりも強い相手に対し、真っ向から力で立ち向かうよりも、愛嬌ある柔らかな姿勢で受け流すことによって相手の心を自然にほぐし、結果として自分より立場の強い相手すら動かしてしまう、そんなしなやかな力もある。

柔らかさや優しさは決して弱さではなく、それは強いものを包み込むほんとうの強さに繋がっているかもしれない。柔よく剛を制す、という発想にも似ている。